「何の役に立つんだ?」というのは、学生が持ちやすい疑問だろう。それは、科学について論じるよい機会になる。手っ取り早くいえば、ヒッグス粒子は何の役にも立たない。

チャド・オーゼル(@orzelc)は「科学は最も基本的な人間の行動だ」と語るのが好きだ。少し言い方を変えれば、「われわれは科学的探求をする、なぜならわれわれが人間だから」。

わたしの好きな、SF作家ロバート・ハインラインの言葉を引用しよう。

「人間は以下のようなことができないといけない。オムツを替える、侵略を計画する、ブタを屠殺する、船の操縦を指揮する、ビルを設計する、ソネットを書く、経理会計を行う、壁を築く、骨折の手当をする、死にかけている人を慰める、注文を取る、命令を出す、協力する、1人で行動する、方程式を解く、新たな問題を分析する、肥料をやる、コンピューターをプログラムする、おいしい食事を作る、効率よく闘う、立派な態度で死を迎える」

標準モデルのひとつのピースを探すことは、『モナリザ』を描くことと同様の、人間の行動だ。なぜ多くの人がブラックホールに関心を持つのだろう。ブラックホール技術に実用性があるのだろうか。たしかにあるのかもしれないが、近い将来は難しいだろう。われわれは、人間だからこそブラックホールに関心を持つのだ。